ディスカバリーズ コンサルタントの大野です。
前回に引き続き Notes から別システムへの情報共有基盤の移行を成功させるためのノウハウをお伝えしていきます。
Notes 移行プロジェクトでは、「プロジェクトの長期化」とそれに伴う「コスト増」に悩まれているお客様が多く、我々にも「何とかしてほしい」というご相談が多く寄せられます。
プロジェクトが長期化する直接の原因は「データの移行が終わらない」ことや「開発に時間がかかる」ことです。これらを解決するには、移行する対象のDB数を減らし、時間がかかる開発をしなければよいのですが、最初からそれができるなら苦労はしません。
実はこの問題の根本的な原因は「プロジェクトの目的が明確でない」ことにあるのです。
そこで、今回のブログでは、プロジェクトの目的を明確にすることがなぜ重要であるか、その理由を書いてみたいと思います。
Notes を利用しているお客様が別システムへの移行を検討されるきっかけは、ほとんどが「現行バージョンのライセンス切れ」です。この場合、Notes に対して何らかの不満があるわけではないため、「新環境でも Notes と同じように業務をこなせる環境を作る」ことをなんとなくの目的にされているお客様が多く見られます。
ユーザー部門にとっては「同じように業務をこなせる環境」とは「同じ機能がそのまま使える環境」ですので、当然「すべてのDBを同じ機能で移行してほしい」という要望が多く寄せられることになります。その結果「すべてのDBを同じ機能で移行する」という方針でプロジェクトが進められてしまい、長期化してしまうケースが非常に多いのです。
新しいシステムを導入する場合に、企業としてそれが「成功した」といえるかどうかは、「どれだけのROI(投資対効果)があったか」で評価されますが、Notes 移行プロジェクトにおいてもそれは例外ではありません。では、このプロジェクトは「何に」投資して「どのような」効果を得るためのプロジェクトなのでしょうか?実はそれこそがプロジェクトの「目的」なのです。
前述の「同じように業務をこなせる環境を作る」という目的は、現状維持を重視する視点といえます。しかし、現状維持が目的であれば、Notes を継続するための投資判断が行われているはずです。あえてNotesをやめて新たなシステムを導入するという判断をされた背景には「Notes では得られなかった新しい価値を得る」ことへの期待があったはずです。
つまり移行プロジェクトにおいては「現状維持のための投資」ではなく「新システムで新たな価値を生み出すための投資」を行うべきであり、それこそがプロジェクトの本来の目的であるべきなのです。
「新たな価値を生み出す」という目的をかなえるためには「新たなシステムの特徴を知りそれを最大限に生かす」必要があります。つまり、Notesでの現状の業務フローに合わせて新システムを改修するのではなく、「システムの特徴を最大限に生かせるような業務フローを実現する」という方針でプロジェクトを進める必要があります。
しかしこの方針は、これまでの業務のやり方自体を変える必要があるため、ユーザー部門にとってはインパクトが大きく、反発が予想されます。
それを防ぐためには、「新たなシステムを利用することによりユーザーが享受できるメリット」を明確にしておく必要があります。
つまり、新システムは
ということを具体的に説明することができれば、ユーザーの興味は「できなくなったこと」ではなく「できるようになったこと」に移っていき、反発を最小限にとどめることができるのです。
「何をプロジェクトの目的とするか」を明確にすることは「何に投資するか」つまり「企業として何を重要視しているのか」の意思表示とも言えます。そして、その目的が現状維持という「守りの姿勢」ではなく、企業の成長に向けた新たな価値を得るという「攻めの姿勢」であり、ユーザーに新たな価値を提供するためのものである、と明確に示すことは、ユーザーと前向きな議論を交わしながらより良い仕組みを共に作っていくための第1歩です。
新たな情報共有環境を「Notes の代わりの場所」ではなく「企業の成長を促進するための重要な武器」とするためには、「このプロジェクトが何を目的としているのか」を明確にし、現在の方向性がそれに沿ったものであるかどうかを常に意識し続けることが重要なのです。
次回のブログでは、プロジェクトを成功させるためのもう一つの重要な要素である「プロジェクトの推進体制」について触れていきたいと思います。お楽しみに。
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