CSMが語る|社員が “毎日使う” Copilotへ――定着化を成功させた3つの工夫

本記事では、Copilot を導入してから中期に至るまでによく生じる「使われない」というリスクに着目し、その対策法を紹介しています。
導入担当者自身が Copilot に触れて得られた成功や失敗の体験を通して、その価値を実感し、社員に共有。また、生成AIの基礎を学ぶ勉強会を開催し、社員が Copilot を効果的に活用できるようサポートしたことにより、モチベーションの維持を実現しました。さらに、日常的に Copilot に触れる機会を増やすため、Teams の利用を推奨し、定期的な情報提供や週次アンケートを実施しました。
実際に体験した社員からは、さまざまな業務効率化の実例が報告され、Copilot の活用が着実に進んでいる様子が伺えます。


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★CSMが語る Copilot シリーズ #01
CSMが語る|Copilot 社内導入はどう始まり、何が変わったのか

筆者
プリンシパルカスタマーサクセスマネージャー 鈴木慎也

カスタマーサクセスチームで、生成AIの利活用やビジネス開発を担当。
NTT東日本や日本マイクロソフトなどを経て、20年以上にわたり大手企業向けの営業・カスタマーサクセスに従事。従来型の日本の働き方に疑問を抱き、ITの活用による働き方改革に継続的に取り組んできた。お客様やチームの意見を積極的に取り入れながら「オープンマインド」を大切にし、変化の激しいIT業界で好奇心を持って、新しい技術やサービスを追求し続けている。
趣味はサッカー観戦で、スター選手だけでは勝てないチームスポーツの奥深さから、個々の能力を引き出し合う“協働の重要性”を学び、それを日々の仕事にも活かしている。

まずは自分が成功・失敗体験から学ぶ

社員の利活用をサポートする立場として、まずは自分自身の成功・失敗体験を大切にしました。
私は中途入社で、入社当初は社内の業務や人が分からないことばかりでした。社内には「People」という各社員が自分で書いた自己紹介やスキル、趣味などがわかるサイトがあり、その人のパーソナリティを知るのに役立ちました。しかし、リモートワーク主体の働き方のため、気軽に誰かに分からないことを聞くことができませんでした。

そこで管理職に申し入れ、先行して Copilot のライセンスを利用できるようにしてもらい、自分自身のオンボーディングに意識的に使ってみました。その中での成功・失敗体験は、その後の活用推進の参考になりました。

  • オンボーディングや OJT の会議を録画し、Copilot の議事メモで分からない部分を後で確認
  • 社内業務で分からない事柄について詳しそうな人を探すために Copilot に聞く
  • 慣れない業務の企画を考える際の壁打ち相手
  • Teams チャットにある膨大な書き込みの要約

そこから得たのは、「Copilot を Teams から使い始めると価値がわかる」「プロンプトを工夫しないと社内にある情報をうまく引き出せない」の2点でした。

結果として、Copilot との付き合い方のヒントを得たような気がします。そこから「人に相談すること」と「Copilot に聞くこと」の使い分けをし始めました。その経験はその後の「DMC(Discoveries Microsoft Copilot)」社内利活用プロジェクトの利活用推進にとても役立ちました。

最初の戸惑いを無くすため、すぐに行った生成AI基礎の勉強会

DMCが発足してすぐ、基礎トレーニングとして、「生成AIの基礎」や「注意点」を伝える勉強会を実施しました。生成AIの特徴や仕組み、使い方の注意点、よくある誤解がわかり、生成AI自体への心理的なハードルが低減されたのではないかと思います。

特に、プロジェクト発足時は、初めて生成AIに触れる社員や、過去に失敗経験をしていた社員もいたので、Copilot の具体的な機能の前に「生成AIの特徴(付き合い方)」を知ってもらうことで、生成AIの特徴や仕組み、使い方の注意点、よくある誤解がわかり、生成AI自体への心理的なハードルが低減されたのではないかと思います。

具体的には、「うまく回答が出ない理由の理解」や「検索エンジンのような使い方からの脱却」を狙いとし、敢えて、Copilot の各機能の紹介はその後としました。

自分で意識せずとも Copilot に触れる、情報が入ってくる状況を作る

しかし、こうしたプロジェクトが進行していくと、当初は頻度高く利用してくれていたユーザーも徐々に利用率が低下していったり、利用頻度の高い社員と低い社員で差が出たりと、利用度の課題はどんどんと表面化してきます。

私たちはそうしたナレッジを知見として持ち合わせていたので、利用頻度の低減を予測し、「常に Copilot に関する情報が目に入ってくる状況」を作り上げました。

まず日常的に使う Teams の Copilot から利用をスタート

全員が自然と議事メモを活用できるようにするため、事務局からアナウンスとして会議録画を原則必須としました。慣れるまでは、会議を録画すること、「される」ことは、慣れないかもしれませんが、事務局からアナウンスすることで、心理的ハードルを下げました。

Teams コミュニティへの Tips や最新情報の定期的な提供

定期的に情報を目にすることにより、利用のヒントを得てもらい、実践してもらうきっかけを作りました。ユーザーからは「情報過多」という声もあがりましたが、それくらいに Copilot を意識として植えつけることを意図的に行いました。

週次アンケートで、毎週の使用を意識づける

変化を定点観測するため、週次アンケートというユーザーには負担をかける進め方を取りましたが、結果として Copilot 利用度の自己振り返りにつながりました。

こういった施策を重ねていくことで、常に社内には Copilot の情報が溢れ、社員のモチベーションの継続に繋がっていきました。

活用が進む現場の声

利用が進むにつれ、週次のアンケートを通し、ユーザーからはたくさんの声が寄せられ始めました。

最初は戸惑いながら使い始めた Copilot ですが、アンケートの内容やログを見ると、徐々に活用度に変化を感じました。その一部を紹介したいと思います。

  • 「Copilot がないともう仕事の質が下がってしまう」
  • 「検索よりまずは Coplot に聞いて見よう、という感覚で起動するようになった」
  • 「結構時間かかりそうだな、とネガティブな気持ちになるタスクについても、Copilot で効率化できることが分かり、ネガティブ度合いが軽減した」

どのような業務がどう効率化されたかのミニ事例

また、社員自身がトライ&エラーをし始めて、業務での成功体験を感じる人が増えてきました。

  • チームディスカッション中に「Teams 文字起こし」をONにして、ディスカッションの内容を発表用に箇条書きに要約してもらった
  • 教育コンテンツの企画アイディアを Copilot に出してもらったときに、自分も知らないことを教えてくれて、自分の学習にもつながった
  • アサインされた案件に対しこれまで自社が行ってきた取り組みのキャッチアップが容易になった

カスタマーサクセスマネージャーとしてみた「利用促進」のポイント

そもそも日常業務で社員は手が一杯です。勉強する時間が取れません。そのため、業務の中で学んでいってもらう必要がありました。

そこで、「Teams など日常で使うツールから自然と使う機会を作る」という機会作りと、「気軽に聞けて、自然とお互いに学びあえる場」の場づくりを行いました。オンラインの Teams コミュニティと、Open Hour という毎週30分の出入り自由なオープンに体験をシェアできる場の2つです。そして、そうした場で個々の小さな成功体験(使い方)をリレー形式で共有してもらうことを行いました。誰もが「自分の使い方は共有するほどではない」と思っていますが、他の社員はそこから多くの活用のヒントを得ていたようです。

このように色々なトライ&エラーをしながらスタートしたプロジェクトですが、参加者も最初はモチベーション高く、興味を持って使い始めるものの、2〜3週間後には停滞すると予測し、そのタイミングで活性化イベントを企画して、活用度を戻すことができました。

次回は、アンケートから見えてきた社員の Copilot 成功体験をご紹介します。


Copilot の社内展開には、さまざまな課題が顕在化しています。

やみくもに社内に導入・展開をしてもなかなか結果は出ず、長期的に活用していくためには、ガイドラインの設計や社員モチベーションの向上、効果検証等、たくさんのステップが存在します。

ディスカバリーズでは、こうした課題に、自身の経験や、これまでのご支援実績を踏まえた独自のナレッジを活かし、Copilot の社内展開・活用をご支援しています。
Copilot の利活用や展開に悩んでいるお客様は、是非、お気軽にお問い合わせください。

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