イノベーティブな組織へ変わる。リモートワークの今こそ見落としがちな「弱いつながり」とは?|ワンランク上の Teams 活用で最強の「弱いつながり」をつくるVol.1
2024.06.07

リモートワークが広がり、Teams をはじめとしたチャットツールの導入は爆発的に進みました。これまでのオフラインコミュニケーションの代わりとして、こうしたツールを使いこなしている方も多いのではないでしょうか。
一方、マイクロソフト社によると Teams や Outlook でのコラボレーションの傾向からリモートワークにおいて人的ネットワークは縮小した、という発表もありました。(*)同じ価値観や同じ情報を持つ仲間同士の濃いつながりが強まる反面、組織横断的な広いつながりが減少してきていると言えそうです。

「リモートワークになって部門外の人との会話が減った」
「普段かかわりのないメンバーにはオンラインでは声がかけづらい」

こうした実感はありませんか?これこそオンラインコミュニケーションの落とし穴。

同じ価値観や同じ情報を持つ仲間(=強いつながり)は知識を深めることは出来ますが、新しい発見は生まれにくいもの。多様な価値観や情報を持つ組織を超えた弱いつながりで、まだ知らない情報を得て知識を広げることは、新しい気づきやアイディアにはなくてはならないものです。
これらはどちらかに偏ることなく、両立させていく工夫が必要です。

そこで今回は Teams と Teams アプリを活用して、組織の「つながり」をつくり、イノベーションを意識したワンランク上の Teams 活用へアップグレードする取り組みを、ディスカバリーズで実際に行っている内容と合わせて連載形式でご紹介していきます。
Teams の活用をワンランク高めてリモートワークの生産性を向上させたい、とお考えの方必見の内容です。

初回の本記事では、それぞれのつながりの強みに触れながら、「強いつながり」と「弱いつながり」について詳しく説明していきます。

「強いつながり」と「弱いつながり」

「強いつながり」とは、日常での接触頻度が高く、情報交換の頻度が高いため同じ情報を持つような、会社で言えば同じ部署や同じプロジェクトのメンバーを指します。これら「強いつながり」は、関わる時間も多いために信頼関係も築きやすく、何か業務で不安を抱えたり迷ったりしたとき、まず相談するのもこの「強いつながり」のメンバーであることが多いと思います。前提として共有している情報が多いため、深い意見交換が出来たり、お互いの知識を深めることが出来たりするのも、「強いつながり」の効果と言えそうです。

一方で、「弱いつながり」はその逆。日常で接触することはほぼなく、普段は異なる環境や情報に接していて、自分とは違う視点を持っている、会社で言えばフリースペースやたばこ部屋でしか顔を合わせない他部署のメンバーのような存在です。

「弱いつながり」はなぜ重要?

企業において社内で「弱いつながり」を持つメリットは、そのつながりから得られる知識や情報が、業務における新しい気づきやアイディア、ひいてはイノベーションの起点になる可能性が高いことです。

オフィスワーク時代、部署が違うけれどフリースペースでたまに話をするメンバーから、思いがけないアイディアをもらった、自分の悩みを新鮮な言葉や新しい視点で解決してもらった、という経験はありませんか?それこそまさに「弱いつながり」のもたらす効果です。
社会学者のマーク・グラノヴェッターは1973年に発表した論文「弱い紐帯の強さ(the strength of weak ties)」で、弱いつながりこそが、自分が知らない情報を伝播してくれるという意味での“強さ”を持っていると主張しています。先述の例のように「弱いつながり」を持っていることで、他のクラスタのメンバーが持つ自分にとって新しい知識を効率的に得ることが可能になっていく訳です。

ところが、Teams などで部署やプロジェクトごとに“チーム”を立ててコミュニケーションをしていると、チーム内にコミュニケーションが固定化されがちになり、「いつも同じメンバーとばかり会話している」「新しい情報がなくてアイディアがマンネリ化している」といったことが起こりやすくなってしまいます。リモートワークでよく知らない人に話しかけづらい、という状況が重なれば、尚のことです。そのため、意識して社内に「弱いつながり」を持つことが組織のアイディア不足を補い、中長期的な生産性の向上にもつながると考えられます。

「強いつながり」と両立することでアイディアを行動へ落とし込む

さて、ここで「強いつながり」に話を戻しましょう。
「弱いつながり」をつくることで、組織のアイディア不足を補う、とお話ししましたが、企業が企業であるためには、そのアイディアを実行に移し利益を生んでいくことが必要です。そこで重要な役割を果たすのが「強いつながり」です。

前述の通り、「強いつながり」は信頼関係で結ばれているため協力関係も作りやすく、実際に行動に起こすときにその強みが現れます。こうした結束した関係は信頼に基づく恩義や期待感なども醸成されやすく、プロジェクトを推進する際などには有利に働く場合が多いでしょう。
つまり、アイディアを生み、それを企業の新しい価値として提供できる形に実現していくためには「弱いつながり」「強いつながり」どちらかに偏りすぎることなく、両者がバランスよく形成されている状態が必要不可欠だと言えそうですね。

次回以降の記事では、実際に Teams を活用した日々の業務において、どのようにつながりをつくっていくのかを、ディスカバリーズで取り組む具体例とともにご紹介していきます。
次回も是非ご期待ください。

全社の情報共有から「弱いつながり」へアプローチ。効果的な情報共有で生産性を高めるには

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