社名:住友電設株式会社
業種:建設業
従業員数:1000-3000名
住友電設株式会社は、全国規模で設備工事事業を展開しています。
2020年の創立70周年を機にITグランドデザインに基づくDX計画を始動。 ペーパーレス化や工事現場支援ツールの導入など、多岐にわたる取り組みを進める中で、長年の課題だった社内ポータルサイトのリプレイスを急務として位置づけました。 そこでMicrosoft SharePointとディスカバリーズの「InSite」を活用し、誰もがアクセスしやすく、自ら運用しやすいサイトへと刷新。 クラウド環境によるVPN不要の閲覧や検索機能の拡充が実現し、アクセス率は大幅に向上しました。
2025年に創立75周年を迎えた住友電設株式会社は、総合エンジニアリング企業として、電気工事や情報通信工事をはじめとする設備工事事業をグローバルに展開しています。近年は大都市圏での大規模再開発や全国で増加しているデータセンター、2025年に開催される国際博覧会場の設備工事など、積み重ねてきた技術とノウハウで重要かつ多様な社会インフラを支えています。
同社ではデジタルの力を企業価値の向上に生かすべく、2020年から「ITグランドデザイン」と称したDX計画を推進。総合企画部と情報システム部のメンバーが中心となって、社内のペーパーレス化や工事現場支援ツールの導入などのプロジェクトを進めています。
しかし、住友電設株式会社 情報システム部 部長の南山 佳徳氏は「まだ下地づくりの段階」と現状を分析しています。
住友電設株式会社
情報システム部 部長
南山 佳徳氏
「当社の DX は、まだ真の DX の一歩手前だと考えています。デジタル化によ
って得られたデータを活用できる段階になってはじめて、本来の意味での DX と言えるのではないでしょうか」(南山氏)
そんな同社にとって長年の課題となっていたのが、社内ポータルサイトのリプレイスでした。社内規程や社内人事、イベントなどの情報を共有するためのポータルサイトは20年ほど前に自社で開発し、その後も基本的には自社で運用してきました。
都度小さな改修を繰り返してきたため、ユーザーからの細かい要望にも対応可能な一方で、インターフェイスは見づらく、情報システム部ですら誰も全体像を把握できない状況に陥っていたといいます。
住友電設株式会社
情報システム部 主席
大西 慎一氏
ポータルサイトのリプレイスプロジェクトをリードした住友電設株式会社 情報システム部 主席の大西 慎一氏によると、「20年を経るあいだに担当者が異動や退職でいなくなってしまったコンテンツも多く、ちょっとしたメンテナンスにも大きな手間がかかっていました」とのこと。新たな機能の追加をリクエストされても、作業の見込みが立たずに断ってしまうこともあったそうです。
これまでにも何度かポータルサイトをリプレイスする計画は建てられたものの、前述の通り全体像を把握できていないことや、社内各部門の要望を調整して改修の方向性を定めるのが難しいといった理由から、頓挫を繰り返していました。
しかし、ITグランドデザインの推進が決まるのと機を同じくして2020年にOffice 365 (現、Microsoft 365) の導入が決まったことから、ファイル・情報共有ツールMicrosoft SharePointを活用したリプレイスの検討が行われることになりました。
ところが、ここでひとつ問題が浮上しました。「私たちにはSharePointのノウハウがなかったので、実績のあるベンダーさんに相談したのですが、うまく話が進まなかったのです」と大西氏。「せっかくリプレイスするのであれば、新しい価値を加えて、より役立つポータルサイトにするべき」という方針が示されていた一方で、相談したベンダーは技術力は十分だったものの、「新たな価値を付加する」ための具体的なイメージを共有することができませんでした。
「加えて、それまでのポータルサイトでできていたことがSharePointだと実現できない場合もあり、使い慣れていたユーザーとの調整というハードルもありました」と振り返るのは、大西氏らを支援する立場としてプロジェクトに携わった住友電設株式会社 情報システム部 兼 総合企画部 IT推進プロジェクト室 主席の中谷 光彦氏。
「社内ではそれぞれの要望があって、実現可能な要件をまとめるのが困難だと感じていました。”このままだと以前と同じように頓挫してしまいかねない。外部の会社に依頼して引っ張ってもらう必要がある”と感じていました」(中谷氏)
住友電設株式会社
情報システム部 兼 総合企画部
IT 推進プロジェクト室 主席
中谷 光彦氏
そこで、コンサルティングや伴走型支援を提供可能なITベンダーを検索。ヒットしたのがディスカバリーズでした。「SharePointを使ったサイト構築の実績は十分だと感じましたし、さらにサービス内容を読み込んでみると、SharePointを使った社内ポータルサイト構築ツール「InSite」を提供されているとのこと。データを一元管理でき、自分たちでサイトをつくることもできる。これこそ私たちが求めているものではないかと直感しました」(大西氏)
問い合わせたところ、「最初の打ち合わせでサイトのデザインイメージを持ってきてくれました。具体的なイメージを持つことができたので、お任せできるのではないかと感じました」と南山氏。中谷氏も「動線や視認性といった部分は私たちに欠けていた視点でした。また、SharePointでは再現できないと思っていた機能も、拡張機能やInSiteの活用で再現できると提案してもらえました」と高い評価だったそうです。
「それまでのベンダーさんとは異なり、“あるべきポータルサイトの姿とは”というところから提案してくれたので、私たちも納得感を持てましたし、社内のユーザーにも受け入れてもらえるだろうと感じました」(大西氏)
こうして、ディスカバリーズとの協働プロジェクトがキックオフされました。
プロジェクトは、過去の反省を生かしてフェーズを2 段階に分けて進められました。「いきなり構築に取り掛かってしまうと、また差し戻しになってしまいかねません。企画フェーズでしっかりと土台を固めてから構築フェーズで設計・構築を行いました」と大西氏。「経営層にもしっかりと説明する必要がありますから、いったん企画書にまとめて了解を得る期間という意味でも、フェーズを分けた意味があったと思います」と南山氏は振り返ります。
さらに、情報システム部だけでなくポータルサイト内に専用サイトを持つ各部門を巻き込んだ部門横断型のプロジェクトチームが結成されました。その背景には、「社内のコンセンサス獲得とリプレイス後の運用をスムーズにしたい」という思いがあったそうです。総務部には企画フェーズからの参画を要請してあるべきポータルサイトの姿をともに模索、その他の部門もInSiteを使ったサイト構築をともに学ぶ機会を設けました。
2023年初頭から始動した企画フェーズにおいては、「“古くなったから新しく”ではなく、新しい価値を生むためのポータルサイト構築」という目標を設定し、その実現のために「モバイルでも閲覧しやすいデザイン」「各部門が発信しやすいサイト構成」というテーマを掲げて、3ヶ月ほどかけて具体的な施策の検討を積み重ねました。
検討のなかで、当初からの課題であった改修プロセス煩雑さを改善し、鮮度の高い情報を発信できるように、誰でも簡単にサイトを作成・運用できるInSiteを使って、各部門が自分たちでサイトを管理・運用する形に変えることも決まりました。
「たとえばコンテンツに関しては、ログを分析して長期にわたって利用実績のないものは対象から除外し、できるだけ身軽にすることに努めました」と語るのは、現状の調査分析や要件定義、データ移行などを担当した住友電設株式会社 情報システム部 主査の城田 美保子氏。ディスカバリーズと密に連携を取りながら細部を詰めていったといいます。
2023年7月から始まった構築フェーズの作業は、「実はそこまで難しさは感じませんでした」と大西氏。企画をしっかり固めていたこととSharePointの機能を活用することでスムーズに進行できたそうです。
データ移行作業を担当した城田氏も、「旧ポータルサイトの構成物の大半はHTMLやPDFファイルといったストック情報でしたから、新しい格納場所をSharePointのドキュメントライブラリにすることで漏れなく移行できました。ユーザーの入力によってデータを蓄積するタイプのコンテンツは、従来のデータベースを”リスト”に置き換え、フォームも標準のものを利用することで、つくり込みにかかる労力を省けました」と振り返ります。
また、直感的な操作が可能なInSiteを用いることで、各部門の独自サイトは想定以上に完成度の高いものができあがったといいます。「専門家ではないユーザーが独力でこれほど洗練されたサイトを作成できたことに驚きました。SharePointとInSiteの機能が優れていることの証だと思います」と城田氏。Insiteを活用することで、デザイン性の優れたサイトテンプレートをすぐに作成でき、またそれを使うことで各部門によるサイト構築もスムーズに進んだそうです。
「ただ、各部門からしてみると、自分たちの業務範囲外の作業であり、少なからず負担を感じていたのではないか」と中谷氏。ディスカッションを重ねて、自分たちで構築・運用することのメリットを理解してもらえたことで快く協力してもらえたのだろうと分析します。
「これまでは、公開したい情報があるときには各部門が情報システム部に情報を渡して、情報システム部が公開するというプロセスを踏む必要があり、当部の担当者不在時には対応できませんでした。しかし、新しいポータルサイトでは自分たちで直接情報をタイムリーに公開できます。当部の作業負担も減りますから、双方でかなりの業務効率化につながると思います」と中谷氏。新たなポータルサイトのリリースによって業務プロセスの改善が進み、自動化や省人化につながることに期待を寄せています。
新ポータルサイトは2024年3月にリリースを迎えました。リリースに際しては、ディスカバリーズから社内へのアナウンス方法などの事前準備についてもアドバイスを得られたとのこと。リリース後の計測によると、閲覧率は全従業員の25%から60%へと劇的な改善を見せているそうです。
「社外からアクセスするために以前はVPNを経由する必要がありましたが、クラウド環境に構築されたことにより、インターネット経由で、さらにモバイル端末からもアクセスできるようになりました。閲覧率が上昇したひとつの要因だと思います」(中谷氏)
「先日営業部長と社外で一緒になったのですが、ふとしたタイミングでスマートフォンを操作しながら “これで経費精算処理ができるようになったんです。便利ですよ” と言うんです。リプレイスの効果を目の当たりにできて、とても嬉しかったですね」(南山氏)
検索機能の追加や、InSiteによる視認性に優れたデザインなども功を奏して、ユーザーの評価は上々。情報の更新頻度も向上し、日々新しい情報が掲示板にアップされているそうです。
「旧ポータルサイトにおける最大の困りごとが、“知りたい情報がどこにあるかわからない”というものでした。しかし仕組みが古すぎて、検索機能導入の検討すら不可能でした。新しいポータルサイトではサイト内のすべてのコンテンツを検索する機能を導入できたので、この長年の課題を瞬時に解決することができました」と喜ぶ城田氏。定期的な運用状況報告においては、IntelliReportの分析機能が効果を発揮しているそうです。
「IntelliReportでは簡単な操作でログを素早く取得できるため、サイトの企画運営において有用なヒントになっています。また、情報システム部門が運用しているサイトで公開中の”よくある質問”へのアクセスログは、技術本部で開発している社内専用ChatGPTの学習データとしても活用しています」(城田氏)
「部門によってはまだ機能を使いきれていない部分もありますので、好事例を共有することで利用を促していければと考えています」とこれからの課題を挙げる大西氏。また、中谷氏は「便利なITツールを導入しても活用方法が十分に伝わらなければ意味がありませんので、教育動画などをつくるなど啓蒙活動を進める予定です」と展望を語ります。
大西氏は「運用フェーズにおいてもディスカバリーズさんからの伴走型支援は頼りにしています」とディスカバリーズとの引き続きの協業に意欲を示します。「企画フェーズと同様に、他社事例を踏まえて掲載すべき情報のご提案や、利用データや世間・会社の状況を踏まえたいま発信すべき情報のご提案など、運用についてもさまざまな改善施策をご提案いただいているのでとても心強いです。従前から提案いただいている“あるべきポータルサイトの姿”に至るにはまだ道半ばだと思っていますので、この後のステップアップもご一緒できればと思っています」(大西氏)
城田氏も、「ディスカバリーズさんから客観的かつ新鮮な視点で次々と繰り出されるアイディアには感服しました。私たちが“なんとなくわかってはいるけれど…”というモヤモヤしたものを明瞭に示していただき、とても勉強になりました」と協業で得られたさまざまな気づきが収穫だったと語ります。
最後に南山氏から期待の言葉が寄せられました。「私たちがベンダーさんに期待するのは知見や経験、そして私たちの要望に応えてくれる提案です。今回のプロジェクトではディスカバリーズさんからのご提案でおおいに助けていただけと感じていますので、引き続きご支援をお願いしたいと思います」(南山氏)
過去の失敗にひるむことなく、必要な配慮を重ねながら、ポータルサイトのリプレイスを通して確実に新たな価値を生み出した住友電設様の姿は、企業DX推進のひとつの最適解といえます。私たちディスカバリーズも、単なるポータルサイトからビジネスプラットフォームへと昇華させることで住友電設様のビジネスに貢献できるよう企画・提案力を磨いて、引き続き伴走してまいります。
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